こんにちは
ゲストさん

THE BACK HORNGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGG

約2年半ぶりにリリースされたニューアルバム「Cry Like a Monster」で炸裂する、新たなのあのわサウンド。
その挑戦への扉はどのように開かれたのか?


--約2年半ぶりになるニュー・アルバム『Cry Like a Monster』になります。制作するにあたって、意識したことは何でした?
Yukko(以下:ユ) 「最後に出した作品がミニ・アルバムの『Hi! How Are You?』(2011年7月)なんですけど、それを出した後に、本来の自分たちの姿と世に出ている“のあのわ”というイメージのバランスがどんどん崩れてきて、まずそれを修正するところから入っていきました。ゴウちゃんと私で、どういう曲がいいのかをずっと探って、できた曲をメンバーに聴いてもらってイメージを掴んでもらって、そこから曲を作ってもらうみたいな作業で。とにかくそのまま突っ走っていったら、沈没するぐらい歪んでいた感じだったのかな、最初は」


--「Have a Good Day!」(2011年5月)はCMソングにもなって話題になり、その後の『Hi! How Are You?』は収録されている5曲ともポップな感じでしたが、それが今まで目指していた方向とは違うという?


「それはそれで自分たちの中にはあったんですが、特に私の場合、ライヴをするとギャップがどんどん生まれてきてしまって。しかも、その前のアルバム『MAGICAL CIRCUS』(2010年8月)は、曲ごとにキャラクターを付けていたから、ライヴとなると、流れもあるし1曲ごとに違う人間に変わるというのが難しくて、自分というものをひとつ通していたいなっていうのは意識しました。『Hi! How Are You?』はポップだし、すごくキュートなイメージがあるんだけど、もしかしたら、目指していた方向とは違うのかなって思ったのかもしれないですね」


--では、どういうイメージの曲を提示したの?
nakame(以下:ナ) 「聴いて最初に思ったのは、前作とか前々作はライヴの影響もあって、“もともと内向的な音楽をやっていた人間がステージに立って、ちょっと外に向けて発信しようぜ”みたいな雰囲気のアルバムだったんですよ。でもそこじゃなくて、もう一回“もっと内なるものを表現しよう”みたいな雰囲気が結構あって、それが圧倒的に違うところだったんですよね」


--今回のアルバムには、そのサンプルになったような曲は入っています?
荒山リク(以下:リ) 「『I AM HERE』と『うたかた』、最初に聴かせてもらったのが『バラ色のダンス』だったんですけど」


--「バラ色のダンス」は“のあのわ”らしい楽曲ですよね。“ウォウォウォ~ウォウウォウ~”という歌声で始まって、ビート感も強くて。なのに、“圧倒的に違う”とはどういう意味?
「同じようでいて、なんか無理にキャッチーにしようとしていないっていうか。のあのわ=ポップというイメージを継承するとなると、確かにギャップはあったのかなって」


--そうなると、歌詞も意識せざるを得ないですよね。
「うーん、難しかったですね。悩んでいたんですけど、とにかく今回のアルバムは自分たちで今思っていることを出さなきゃっていうか、出したいなって思ったので、一辺倒かもしれないけど、最後までそういう風に作っていきましたね」


--デビュー当時にインタビューした時、Yukkoさんの中にそれこそ、「怪獣のようにモヤモヤしているものが自分の中にあって、それをどう出していけば良いかがわからない」という発言があったので、個人的には「来たか!モンスター」って思ったんですよ(笑)。
「ジャケットもそうなんですけど、人からモンスターが出ているというイメージ。“モンスターのように叫べ”というタイトルを付けたのも、ずっと待っていて、待ち過ぎたけど、自分の中から怪物が生まれた時に祝福されるというか、モヤモヤしていた内面を叫びと共に解放する、そういうふうになれたら良いなって思いましたね」


--ライヴ会場でファンの人たちを見ていると、Yukkoさんに対して“ファンタジーの中の女の子”みたいなイメージを抱いている人もいるのかな、と思ってしまって。



「でもそのファンタジーというのは、やっぱり好きで。今回、歌詞を書いていて、ゴウちゃんが(私の)動物とかで物語を作る歌詞がすごく好きだと言ってくれて」

ゴウ(以下:ゴ) 「動物をモチーフにした『カエルのうた』とかあるんですけど、その歌詞が他の歌よりもわかりやすく感じて、でもなんか深みを感じるというか、(Yukkoに)ごめんなさい、勝手な俺の意見なんですけど」

「なんか動物になっているYukkoの時の方が、素な気がするんですよ。自分のことを書くとなると、結構オブラードに包むじゃない?」

「たぶん真剣に書こうとしているから、難しいんだと思う。絵本の中のストーリーとして書いている方が、客観的に見てると一番Yukkoちゃんらしく感じるんですよね」


--サウンド的な変化はどうですか?本間シュンタ君(Dr)が抜けたのがビックリしたので。
「でもメンバー的には、(辞めたいと言い出した時は)ビックリはしなかった」

「ちょうど一年前ぐらいの3月だよね」

「もともとソロでやっていたのを、無理矢理口説いて入れたっていうのもあったから。本ちゃんには本ちゃんの“こういう感じのやつをやりたい”っていうのが以前からあったらしくて。でも、うちらの音楽も好きでそこに乗っかってきたけど、“今はもうちょっと違うのがいい”って言ってましたね」


--そうすると、ドラムをどうしようかというところも含みつつ、アルバムを制作していった感じですね?
「最初、4人でやろう、ってなったんだよね」

「で、楽器をもうパートチェンジしまくってやっていこうとか考えていたんですけど、現実的に昔の曲をやる時とか圧倒的に問題の方がデカくて。で、ライヴには知り合いのSPANKPAGE(当時)の水野(雅昭)君を呼んだんですけど」

「今回のアルバム制作はスタジオでみんなで何かをやるというより、各自が家でコツコツ作ってきて、そのデータをパソコンで持ち込み、そこから今回のアルバムのエンジニアで、ダブステップやクラブミュージックに精通するURBAN(アーバン)中村さんと一緒にやっていきましたね。だからクラブっぽい感じのビートになっているかも」


--なるほど、だから音質がちょっと違ってきているのかも。
「グルーヴ感がちょっと機械的というか、ダンスミュージックにちょっとグルーヴが近いっていうか。曲によってはベースを弾いてないですからね。シンセベースに変えちゃってたり。『醜い怪物』も生のベースじゃなくて、シンセを弾いているんです。ドラムも叩いたやつを切り貼りして繋げて」


--今回は全体的に80'sテイストだったり、パッション・ピット的というか、今の音を“のあのわ”なりに掴んだシンセサイザーの存在感を大きく感じましたが、DTMの割合も高かったんですね。
「そうですね。今までもそうやって作っていた部分はあるんですけど、今回はそっちの方が多かったですね」



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